宮大工棟梁【桜井三也】 神社・仏閣・彫刻・建築工事/長野県南信州阿智村清内路

宮大工棟梁 桜井三也

■櫻井三也(昭和29年2月14日生まれ・長野県阿智村清内路出身)57歳
小学生の頃から仏師を目指し、仏像のスケッチや彫刻を独学。
その後15歳から宮大工になることを決意し、修行を始め、昭和56年に独立。
南信州・阿智村清内路を拠点に、神社仏閣の建築と修復、彫刻を手がけている。
三清建築代表。古民家再生事業実行委員会委員長。 信州の名工
>>長野県下伊那地方事務所のインタビュー記事

ふるさとへの思いと古民家再生


 「減りつつある古民家は地域の宝。田舎らしい風景をみせることこそが、これからの観光だ」
 阿智村と阿智村清内路の商工会に提案したのがきっかけで立ち上がった『古民家再生事業実行委員会』の委員長に就任した。

 彫刻家を志し、京都の仏師に入門する予定だったが、心臓を患って断念。「地元で働くなら宮大工にならねば」と数か所で修行しつつ、宮大工の技法を独学で身に付け、1981(昭和56)年に三清建築を地元・下清内路で創業した。
仕事の中心は、神社仏閣の建築と修復、彫刻。これまでに阿智村・広拯院、阿南町・関昌寺・瑞光院、飯田市・冨士山稲荷神社・白山神社など数十軒の建築と修復を手掛けてきた。

 観光旅行で訪れた英国で、古い建築物や道具を大切にする習慣を目の当たりにして、古民家を守る必要性を痛感した。
「このままでは、日本から田舎らしい風景がなくなる。今動き出さねば次世代に技術も引き継げず、古民家が残せなくなる」
この思いが2村の商工会を動かし、プロジェクトがスタートした。「都会の人が感じる田舎の魅力は、古民家のある風景だ」と強調する一方で、持続可能な地域づくりにも古民家は欠かせないと櫻井さんは言う。
「100年の歴史を感じさせる柱や梁(はり)を見て育った人が帰って来るのは、家族に会うためだけではなく、建物に郷愁と愛着を感じているから。それがなくなれば、ふるさとへの思いは薄れる。Uターンや交流人口を増加させるためにも、古民家は残さねば」

(平成19年10月30日付 南信州新聞に掲載された記事より)
信濃比叡 広拯院位牌堂 建築現場(阿智村園原)にて